【運用・相場】オルタナティブ投資について

オルタナティブ投資とは、株式や債券といった伝統的資産とは異なる資産への投資のことをいいます。具体的には、ヘッジファンドやプライベートエクイティ、金や石油等のコモディティや不動産等の実物投資等を指します。

オルタナティブ投資は、売却先を見つけることが難しかったり、買取請求も制限されていたり等して、一般には流動性に課題があるものの、他の伝統的資産とはリスク・リターン特性が異なるため、伝統的資産と組み合わせたりするような効果もあり、機関投資家などの大口投資家が分散投資の一つとして取り入れることが多い。また、一般的にハイリターンが期待できる投資も多いことから、近年では個人投資家のニーズも高まりつつあります。

1.オルタナティブ投資の特徴

①投資対象が拡大する:

投資の世界でいう伝統的資産とは、一般に株式と債券(国内株式、外国株式、国内債券、外国債券)を指すが、キャッシュを含めることもあります。

伝統的資産オルタナティブ投資 (詳細は3.オルタナティブ投資の種類参照)
国内株式
外国株式
国内債券
外国債券
(キャッシュ)
不動産
コモディティ(商品)
プライベートエクイティ
ヘッジファンド
インフラファンド
証券化商品
保険商品  等

②投資手法の多様化:伝統的資産投資は、基本的には価格の上昇がそのまま収益の拡大につながるが、オルタナティブ投資では、先物取引やオプション取引、スワップ取引といった金融デリバティブを用いて、あらゆる市場局面で収益機会を得ることができる

➂投資する国・地域が拡大:伝統的資産投資では先進国への投資が中心だが、オルタナティブ投資では、新興国への投資も多い。

2.オルタナティブ投資のメリット・デメリット

<メリット>

分散効果・投資対象となる資産の拡大、投資手法の多様化、投資する国・資産の増加が期待できる
・伝統的資産である株式や債券とは異なる価格変動をする資産が多い
収益機会・朱駅機械の多様化が期待できる
・「買い」と「売り」の両方の取引を行うことにより、金融市場のあらゆる局面で収益機会を得ることが期待できる

<デメリット>

仕組み・仕組みが複雑でわかりづらい場合がある
・ヘッジファンドなど高度な手法を用いた取引は、一般には複雑でわかりづらい
価格変動・値動きの要因や理由が分かりづらい場合がある
・ヘッジファンドなどは、どういった状況で資産価格が上昇・下落するのかがわかりづらい
パフォーマンス評価・価格の妥当性の目安となるベンチマークがないものも多く、パフォーマンスの評価が難しい
・株式のPERのような資産価格の目安・基準となるようなものがない場合が多い
取引コスト・伝統的資産と比べて売買手数料や管理手数料などの各種手数料が高い
流動性・流動性や換金性が低く、思ったようなタイミングで売却できないことがある

3.オルタナティブ投資の種類

①不動産

・実物不動産(現物不動産)
・小口化商品
・上場REIT
・私募REIT
・不動産に投資する投資信託
・私募ファンド

上記のうち、私募REITや私募ファンドは、主に機関投資家が投資することが多い。

②コモディティ

コモディティ投資のうち、金やプラチナ等の貴金属は、それ自体に価値があり実物が保有できる資産であることも特徴の一つです。

・貴金属(金・銀・プラチナ)
・産業用金属(アルミニウム・銅・鉛)
・エネルギー(原油・ガソリン)
・農産物(小麦・コーン・大豆)
・畜産物(牛肉・豚肉)

➂ヘッジファンド

ヘッジファンドとは、先物取引等の金融デリバティブ(金融派生商品)等の取引手法を活用したファンドをいいます。ヘッジファンドの投資戦略は大きく分けると、以下に分けられます。

☆ディレクショナル戦略:相場見通しに基づいて投資を行う

☆レタティブバリュー戦略:銘柄間などの想定的な価格差に着目して割安な銘柄を買い、割高な名がを売る

☆イベントドリブン戦略:企業買収等のイベントに着目して利益を得る

・ディレクショナル(方向性)戦略:株式ロングショート、グローバルマクロ、マネージドフューチャーズ
・レタティブバリュー(相対価値)戦略:株式マーケットニュートラル、債券アービトラージ、転換社債アービトラージ
・イベントドリブン戦略:ディストレスト、M&Aアービトラージ、スペシャル・シチュエーション

④プライベートエクイティ

・ベンチャーキャピタル:ベンチャー企業に投資
・バイアウトファンド:企業を買収して、高い企業価値を持たせてから売却
・企業再生ファンド:経営不振の企業の立て直しを行う
・ディストレストファンド:経営破綻しそうな企業の株式を買い取る
・セカンダリーファンド:既存株主から株式を購入する等、流通市場から株式を買い取る※1
・メザニンファンド:劣後ローン、劣後債、優先株投資等

※1 近年、事業会社がCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を立ち上げ、スタートアップへ投資をする動きが加速している。例えば、CVCでは戦略的なリターンを重視して投資を実行するケースも多いが、事業戦略の見直しなどにより、当初想定していたシナジーを生み出せない場合もある。長期間にわたって未上場の状態で事業を拡大するスタートアップが増えれば、投資先が上場する前に満期を迎えるファンドが増えることも考えられるため、これらの株式を買い取ることで投資を実行する戦略である。

⑤証券化商品

証券化商品とは、不動産、ローン、債券、知的財産権、事業などキャッシュフローが見込まれる原資産を裏付けとして発行された証券が商品化されたものをいいます。

☆MBS(不動産担保証券):不動産関連ローンを裏付けとする

☆CDO(債務担保証券):社債や金融機関の事後湯会社に対するローンを裏付けとする

☆ABS(協議の資産担保証券):MBSやCDOに分類されない資産を裏付けとする

・MBS(不動産担保証券)、RMBS(住宅ローン担保証券)、CMBS(商業不動産担保証券)、CMO(不動産抵当証券担保債券)
・CDO(債務担保証券)、CBO(社債担保証券)、CLO(ローン担保証券)
・ABS(自動車ローン債権、リース料債権、割賦債権、クレジットカード債権、学生ローン債権、消費者ローン債権、売掛金、商業手形など)

⑥インフラ投資

インフラ投資とは、経済や社会の基盤となるインフラ施設に直接的・間接的に投資することをいいます。

・経済インフラ(道路・橋・トンネル・鉄道・河川・港湾・空港・発電所・送配電施設・パイプライン・ダム・上下水道・放送/通信設備・衛星・ケーブル)
・社会インフラ(学校・病院・刑務所・政府関連施設

⑦保険証券投資

保険証券投資とは、生命保険や損害保険に連動する保険リンク証券等に投資することを言います。景気動向などにリターンが左右されないことが特徴である。

具体的には、自然災害の発生状況によって得られる収益が変わってkるうキャットボンド(CAT債:Catastropne bond)

・生命保険投資(超過死亡リスクの再保険、長寿リスクの再保険、医療保険の超過支払リスクの再保険・ライフセトルメント
・損害保険投資(CAT債(キャットボンド)、再保険、再々保険、ILW(インダストリー・ロス・ワランティ)

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