世界各国には中央銀行が存在していますが、日本においては日本銀行が中央銀行としての役割を担っています。
1.日本銀行の役割
日本銀行の役割については、日本銀行法により以下が定められています。
①紙幣の発行
政府から独立した発券の銀行として法律で定めており、政府が勝手に紙幣を増発できない仕組みとなっています
②銀行の銀行
民間銀行の健全な経営を管理し、民間銀行のお金を預かったり、民間銀行にお金を貸し出したりしています。民間銀行は預金の一定率(預金準備率)を日銀に預ける決まりがあり、そのために国内のほとんどすべての銀行が使う、「日本銀行金融ネットワークシステム(日銀ネット)」という金融機関同士の取引決済システムを提供しています。
➂政府の銀行
国債の発行・外為為替介入業務・税金や社会保険料の受け入れ等、政府の金融及び決済サービスを提供しています。日本銀行が管理している政府のお金を国庫金といい、国税や社会保険料として受け入れる国庫金を「歳入金」、年金の支払いなどで出ていく国庫金は「歳出金」といいます。
2.日本銀行と国債の関わり
国債は日本政府が発行していますが、日銀は国債の直接引き受けはできないこととなっています。これは、発券の銀行である中央銀行が国債の引受も行うとすると、政府が際限なく国債発行(=借金)できることになってしまうことを防ぐためです。そのため、日銀は投資家が引き受けた国債を債券市場で購入する形で国債のコントロールを行います。
日銀は、債券市場において国債の売買を行うことで、市場に出回る国債の流通量と資金の供給量をコントロールしています(公開市場操作)。
日銀が国債を債券市場から購入することを資金供給オペレーション(買いオペ)といい、国債を債券市場で売却することを資金吸収オペレーション(売りオペ)といいます。
3.世界の主要中央銀行
日本では日本銀行が中央銀行ですが、アメリカではFRB(連邦準備理事会)、ユーロではECB(欧州中央銀行)が有名です。これらの主要中央銀行の金融政策が、その後の金融市場の行方を探る上で重要となります。
FRBは年8回開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)で、アメリカの政策金利等の重要な金融政策を決定します。アメリカの金融政策はマーケットに与える影響が大きく、市場関係者の予測と乖離があれば株式市場や為替市場が大きく変動することになるため、多くの投資家から注目されています。とりわけ、FRBは、「1.日本銀行の役割」で記載した中央銀行の3つの役割に加えて、「雇用の最大化」という役割も担っていることから、米国においては毎月第1金曜日に発表される米国雇用統計が重要な指標となります。
ECB理事会は、欧州中央銀行の最高意思決定機関の事で、ユーロ圏の統一的な金融政策を決定する機関です。統一通貨ユーロでは、信用力の異なる各国が国債を発行している(ユーロ各国には独自の中央銀行があるため)ユーロ採用国の中央銀行との調整役としての役割も担っています。